卒業生は、百貨店(デパート)マン

 太田です。
 私のゼミナール(通称ゼミ)では、流通・マーケティングを研究しています。ゼミナールとは、研究のために一人の教員のもとに学生が集い議論しながら進めていく授業のことをいいます。この授業形態は、最も大学らしい授業形態といえるでしょう。愛知大学経営学部の多くの3年生、4年生はどこかのゼミに所属し、日々研究を続けています。

 私のゼミをこの3月に卒業した学生にM君がいます。M君は、3年次より小売業者に興味を持ち、3年生の時には「セレクトショップの固有性」を仲間とともに研究しました。4年生になる卒業研究になるのですが、M君の卒業研究のタイトルは「百貨店の存在意義」でした。

 そのM君は、この4月から名古屋駅にある「JR名古屋高島屋」で百貨店(デパート)マンとして働いています。研修を終え、M君から連絡がありました。

 「紳士靴売り場に配属されたので、先生ぜひ来てください」

 私はゼミで流通・マーケティングについて指導しています。自分が指導した学生が、流通業であるJR名古屋高島屋に就職しているのは大変嬉しいことです。なので、さっそくM君に会いにJR名古屋高島屋に行ってきました。
 紳士靴売り場に到着して店内をキョロキョロしてみると、M君がいるではありませんか。さっそく、彼に私に似合う靴を選んでもらいました。

「先生は、よく細身のスーツを着ているから、この靴は似合うと思いますよ。革も柔らかいし、デザインがカッコイイ。僕が履きたいくらいです。」

といって、その靴を僕に履かせてくれます。
 が、彼は上手く靴ベラを使うことができず、結局私自身で履くことに。まだ配属されて10日も経っていないから仕方ないでしょう。
 M君は、「JR東海高島屋」に就職が決まる前から、デパートについて研究をしていました。デパートの本来の魅力はなんなのか。それは、デパート・マンが深い商品知識を持っていることだと結論付けました。M君は、現在紳士靴についていろいろと勉強しているようです。

「店にある、ありとあらゆる靴を自分自身で試着しています。自分の言葉でその靴の良さを伝えられないと、お客様が満足いく買い物ができないと思うんですよね。」

 M君は、続けて、こういいます。

「この売り場で3年は働いて、シュー・フィッターの資格を取りたいと思っています。」

 M君が選んでくれた靴。すごくかっこいいです。周りからの評判も上々。大事に履きたいと思います。そして、また彼に靴を選んでもらおうと思います。
 M君がシュー・フィッターになったらもっといい靴を選んでくれることでしょう。その日がくるのが今から楽しみです。