マーケティングの太田です。
昨年の12月上旬にフィリピン・マニラに出張してきました。今回の出張は、マニラのデ・ラ・サール大学教授の大崎孝徳先生が主催する勉強会への参加が主目的でしたが、研究会以外にも多くの発見があった出張でした。
正直なところ、今回マニラに行くまでは、私はニューヨークやロンドンのようなエンタメの街が好きで、東南アジアは苦手。しかし、今となっては、またマニラに行きたい!という想いでいっぱいです。
12月初旬ですから、日本は真冬。マニラの空港に着くと、生バンドで歌われる「ホワイトクリスマス」が聞こえました。しかし、マニラは常夏。皆半袖姿なんですね。マニラの人々は、アナ雪のオラフとは反対で「憧れの冬」なんですね。歌の如く、「ホワイトクリスマス」を夢見ているようでした。
マニラは実に魅力的な街でした。それは、ここ、ささしまのような綺麗なビルが立ち並んでいるエリア(BGC)もあれば、いわゆる発展途上国に見られる狭いエリアにゴチャゴチャと住宅が並び、家と家の間の通りには子供たちが遊んでいる風景もあるんです。
さらに、以前はスペイン領だったこともあり、「ここはヨーロッパか!」というエリアがあり、そこには世界遺産に認定されている教会(サン・アグスチン教会)が厳かにあるんです。
教会の隣には、まさにヨーロッパにあるような石造りの素敵なカフェ。そこでコーヒーとケーキ(アップルシナモンチーズケーキ)を食したんですが、コーヒーもケーキも美味で、かつ、発展途上国の喧騒とは程遠い静けさと厳かさ。そこでは、上品な雰囲気も一緒に味わい楽しめる時空間でした。この高級な雰囲気で食したコーヒーとケーキのセットの代金は日本円で750円弱。日本の同等のカフェと比べると大変安価でした。
元スペイン領だから、パエリアなどのスペイン料理は絶品でしたし、スペインで生まれ、今ではフィリピンで愛されているパン=エンサイマダが最高でした。ブリオッシュの上に千切りチーズがたくさんふりかかったパン。味はほんのり甘く、そしてバターの香りと脂が程よく滴る絶妙な味付け。あまりにも美味しかったので、このパンを毎朝ホテル隣接のカフェで食していました。こちらはコーヒーとエンサイマダのセットで150円弱。猛烈に安いです。安いけど、美味いんです。
マニラは、日本に比べると美味しいものが安いなぁと感じていたのですが、スターバックスに入るとコーヒー1杯が400円程度。それはマニラ市内のどこのスタバでも同じ価格。日本と同じ価格設定なんですね。マニラのApple Storeも視察したんですが、ipadもiphoneもMacも日本と同じ価格。日本よりはるかに安いものもあれば、日本と全く同じ価格帯のものもある。これは大変興味深い経験でした。
フィリピンはタガログ語が公用語ですが、街中の標識や看板は英語で書かれています。そして、私の下手な英語も通じる街でした。最近は、フィリピンに英語留学に行く学生や社会人が多いことも納得がいきました。
街中の移動の手段は、ジプニー。マニラの街中を猛烈な数のジプニーが縦横無尽に走り回っています。ジプニーはジープの後ろに荷台と屋根をつけた小さな乗合バス。1回の乗車は約20円。この荷台にギュウギュウに人が詰め込められます。運賃は、ギュウギュウに乗ったお客さんの手から手を渡り運転手に支払われ、お釣りも他の乗客の手を渡り戻ってくるんです。そこで誰もお金をちょろまかしません。
このジプニー、マニラのKing of Roadと呼ばれています。常に渋滞しているマニラの通りをクラクションを鳴らしまくり、走り抜けたと思えば、客がいるところでは平気で急ブレーキ。ウインカーなどもちろん出しません。そうそう、マニラにはあまり横断歩道がない。そのなかを物凄く多くの車が走っています。そして、ジプニーも走り回っています。そこを歩行者はどう渡るのか。一瞬の切れ目を見つけ、思いきって渡っていきます。不思議なもので、轢かれませんでした。これも慣れてくると、平気で車がビュンビュン行き交っている道を渡れるようになるから不思議。
日本ではコンプライアンスというものが幅を利かせ、日夜、人の過ちを執拗なまでに袋叩きすることが横行している昨今ですが、コンプライアンス糞食らえという雰囲気のマニラが実に心地良かったです。あれだけ自由に車やジプニーが道路を走り、ジプニーは満員電車以上に人が詰め込まれ、その合間を萎縮せずに歩行者が横切る。なのにほとんどの人々が笑顔。日本よりも街に笑顔が溢れていたんですね。
日本では非合法のカジノもフィリピンでは合法なのでいってみました。損も得もしませんでしたので、私にはつまらない場所でした。同行した研究者仲間のなかには、日本出国時よりも多くの金を持って帰国した人もいて羨ましいというか、まぁ、個人的には面白くないことこの上なかったです。
フィリピンはアジアでも治安が特に悪いと聞いていました。しかし、今回は大崎先生の案内がよかったんでしょう。一度も危険な目には遭いませんでした。それよりも、フィリピンの方々に大変よくしてもらったという思い出の方が多いです。
※今回掲載の写真の一部はデ・ラ・サール大学の大崎先生からご提供いただいたものです。記して感謝いたします。